遺言書に書くべきことは決まっている!?

たとえば、「私の死後も、正月には家族が揃って家に集まるように」と遺言書に書いたとしても、法的には意味をなしません。ほかにも、「私の葬儀は開催を要せず、散骨は湘南の海で行うこと」など葬儀についての記述も同じく法的には無効です。

では、どのような事項が法律上意味をなすのかというと…

  1. 未成年後見人・未成年後見監督人の指定 (民839Ⅰ・848)
  2. 相続分の指定、指定の委託(民902Ⅰ)
  3. 遺産分割方法の指定、指定の委託(民908)
  4. 遺産分割の禁止 同上(民908)
  5. 遺産分割における共同相続人間の担保責任の指定(民914)
  6. 遺言執行者の指定、指定の委託、遺言執行者の報酬(民1006・1018Ⅰ但)
  7. 遺贈の減殺割合の方法の指定(民1034但)
  8. 認知(民781Ⅱ)
  9. 推定相続人の廃除、その取消(民893・894Ⅱ)
  10. 特別受益の持戻しの免除(民903Ⅲ)
  11. 財産処分(遺贈 民964)
  12. 受遺者の相続人の承認・放棄についての特別の意思表示(民988但)
  13. 信託の設定(信託法3)
  14. 祭祀承継者の指定(民897)

※10~13については、遺言だけでなく遺言者の生前行為によっても実現可能。

法定事項以外は不要!?

このように、遺言書に記述して効果を発揮する事項は法定されています。
それでは、前記のような葬儀に関する事項や、自分の死後にやってもらいたいことなどを書いても、まったくムダなのかというと、そんなことはありません。家族に対する想い、自分の希望を付帯事項として記述しておくことは、遺言者の真意を伝えることにつながります。また、一部の相続人にとって不利な内容の遺言を残す場合に、その理由を愛情をもって記述することは、遺言の履行を促すと同時に、残された方の争いやしこりをなくすことにもなるでしょう。